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『おかえり・ただいま』

 最近、よく見かけるCMで、モデルさんみたいな女性が、クレンジングしてて、鏡に向かって『おかえり』ってつぶやくの、知ってます? まず指先で感じる、かなんかナレーションの男性が言ってます。
 クレンジングして、自分の素顔が帰ってきた、という意味の『おかえり』なんでしょう。

 私、そのCM見てると、いっつも思うんですよお。これは、解釈の違いなんでしょうが、私的には、『おかえり』じゃなくて、『ただいま』の方が落ち着くの。そっちのほうが、感情的に、しっくりくる。
 私が監督だったら、代理店の人間だったら、出演していたら(そんなこと言える立場かどうかしらないけど)、『これ、ただいま、にしたらどうでしょう・・・』って提案してたかも。それくらい、CMの印象が変わるセリフだと思うんだ。
 すっごい細かいこと言ってるようですが、すごく大きな話でもあります。
 『おかえり』と『ただいま』では、全く、立場が逆のセリフ。普通は、どっちがいいかなんて、悩むまでもない。でも、このCMの場合、自分が自分に言うセリフ、言い手と聞き手が同じだから、どっちでも通じるわけですよね。でも、やっぱり、ベクトルが逆だから、イメージは大きく違ってくる。
 『おかえり』だと、化粧をして仕事をしていた自分は、素顔の自分とはちょっと違って、頑張っているわけです。で、化粧を落として、やっと、本当の自分が見えてみた。で、素の自分が、化粧を落とした自分に言う。目線は素の自分。『おかえり』。
 『ただいま』だと、化粧をした自分が、ほっと落ち着ける家に帰って来た。化粧を落として、頑張っていた自分が、やっと、一息つけた。目線は、明日も頑張る、化粧をした時の私。『ただいま』
 私の中では、多分、こんなイメージの違いがあるんだと思う。
 自分が、外と家で、さほど違いがない人なので、そして、基本的にうなずけるのが後者の方なので、『ただいま』がしっくりくるんでしょう。
 こういうの書いてると、やたらと細かい『へりくつ王』みたいですけど、私達の仕事って、こういう、一見どうでもいいようなイメージの違いにこだわって、言葉をつむいでいく仕事。今回はわかりやすく説明できる例だったので、書いてみました。
 今度このCMを見たら、ちょっと思い出してみてください。

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