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『大敵は せき』

 この仕事をしていると、風邪っていうのは、困ったもの。
 もちろん、主婦も含めて、他のどの仕事も、風邪ひいて良い仕事なんてないわけですが、この仕事の場合、直接的に、声が関わるので、その分、ダイレクトに、影響が出るっていう意味で、『困る』。
 鼻声では、ナレーションが聞きづらいでしょうし、インタビューのテンポも遅くなったりして全体のリズムが崩れるよね。声が出ない!なんていうのもあって、そんなのは問題外に仕事にならない・・・。今まで、私も経験あります。ささやき声でリポート、みたいな・・・。ひえ〜〜。恐ろしい。自己管理せねば〜〜〜。
 そんな『声が出ない』は別として、風邪の諸症状の中で一番困るのが、せきです。
 せきは、会話が成立しなくなるもんね。ニュース読む時にも困る。せきって、一度、出始めると、しばらく止まらないでしょ?で、止めようとすると、余計に出る・・・。局アナ時代にも風邪をひいちゃう時はあって、途中でせきが出にくいように、口の中に飴を入れっぱなしにしてニュース読んでた。(聞いてる人には、全くわからない)
 何年前になるでしょうか。1995年の4月からだから、4年前? NHKで『現役くらぶ 人生これから』という番組の司会をしてた時。この番組は、いい歳のとりかたをしている、何かに夢中になって『現役』で頑張っている、おじいちゃん、おばあちゃんにゲスト出演して頂いてのトーク番組。
 私は、その時、風邪をひいていて、咳がひどくて大変でした。45分番組なんだけど、収録なんで、実際には、1時間以上、VTRをまわす。マネージャーさんに、ブロン液と水を持っててもらって、でも、なるべく意識しないように・・・。
 でも、来ちゃったんだなあ。咳の波が・・・。
 ギリッギリまで我慢してたんだけど、限界!!涙目になるし、これ以上我慢したら、もう、咳き込んだが最後、とまらなくなっちゃう!という時に、ディレクターさんに合図して、カメラを振らないようにしてもらって、席を立った。裏で、水とブロン液を飲んで、咳がおさまった頃に、何気ない顔して、セットの椅子に戻る、と・・・。その間、数十秒? 収録だから咳をしたところで、カットできるんだけど、そこは、素人さんがメインのインタビュー番組。その話の、一瞬一瞬が大切だからね。
 で、戻ってみて気がついたんだけど、タレントゲストの、おすぎさん(おすぎとピーコの)が、やはり、目を真っ赤にして、涙を浮かべている・・・。身体も震えてる?そのまま、何分かたって、やっと、普通の表情に・・・。
 収録が終わって、席を立ってしまったことを謝りに行ったら、『いやいや、つらかったでしょお?ずっと我慢してて、よく頑張ったわ!』と、やさしいおすぎさん。でも、おすぎさんも、アレって咳を我慢していらしたんじゃないですか?と聞けば、やっぱり!『歳とると、いろんなこと、できるようになるのよ』って。
 すごい!!あれは、感服以外、言葉がないです。咳を我慢するなんて、ほんっと難しいこと。同じことを試みて、自分は失敗しているだけに、おすぎさんのすごさが、よくわかる。我慢しようと思って、できることとできないことがある。まばたきとか、せきとかっていうのは、止められないよお。
 あの、目に涙をいっぱい浮かべたおすぎさんの姿、風邪をひく度に、思い出されます。
 ちなみに、この思い出を、おすぎさんをよく知っている人に話したら、ご本人に話してくれて、おすぎさんも、この日のことはよく覚えてらしゃるそうです。つらかった1日だったんでしょうね〜〜〜〜。

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