【便利すぎる?ニューヨーク〜1/31】

 よく聞かれる質問に「日本のものが懐かしくなるでしょう?」というものがあります。
 答えは「ノー」です。こちらに住んで1年半、ほとんど不自由を感じたことはありません。
 アメリカには28万人の日本人が居るそうですが、ニューヨークには約5万6千人の日本人が住んでいます。ニューヨーク市の人口は約733万人ですから、ニューヨークに住む130人に一人は日本人ということになります。この日本人の数は全米都市中ナンバー1です。



 この日本のちょっとした町の人口よりも多い日本人のために至れり尽くせり(?)のサービスがあります。
 朝起きてテレビをつけるとNHKのニュースを1時間遅れで見ることができます。連ドラ、ドキュメント、時代劇、クイズ日本人の質問などなどほとんど見られます。このほかにフジテレビも現地放送をしていて、ニュースやトレンディードラマを放送しています。
 街にはレンタルビデオ屋が多くあり、見られない日本の番組はほとんどないといっても過言ではありません。週末にもなるとレンタルビデオ屋は大入り満員。フジテレビのドラマ「今夜宇宙の片隅で」でNYに駐在する日本人の姿を描いていましたが、まさにあの状態です。
 新聞も午後2時過ぎには、三大紙や日経新聞が届けられます。この時間は日本の朝4時ですから、こちらでは日本のほとんどの人よりも同じ新聞を早く読んでいるわけです。


 この他、日本の『ぴあ』のような日本語の情報誌も数多く発行されています。本屋も充実しています。紀伊国屋などの大型書店をはじめ、マンハッタンや郊外にも多くの書店があります。週刊誌なら1日遅れ、月刊誌や文庫本なら、ものにもよりますが、約1か月遅れで手に入ります。1割5分増しの値段が「玉にきず」です。



 中でも極めつけは日本食。「石を投げれば日本食屋に当たる」というのは言い過ぎかもしれませんが、東京の世田谷区ほどのこのマンハッタンだけでも約300の日本食屋があると言われ、「どこにでもある」といった感じです。昼時にもなるとほとんどの日本食屋は大入り満員です。






 日本の食材屋も半端ではありません。手に入らないものは無いと言っていいくらいです。
 赴任早々、私の出身地・広島の名物「オタフクソース」(お好み焼き用のソース)を発見したときには感動しました。



 先日、おもしろい話を聞きました。ニューヨークのビジネスマンや留学生の中で、帰国間際になると英会話学校に駆け込む人が多くなるというのです。ほとんど日本と同じような生活をしていたため、英語も上達せず、日本に帰って英語が話せないと恥ずかしい、というのが理由だそうです。海外の駐在といっても日本の企業の場合、会社内ではほとんど日本語しか話しませんし、社外に出ても前述のような状況にたっぷりとつかればそうなるのは当然です。
 消費者のニーズを素早くキャッチし、それにマッチする製品やサービスをすぐに作り出すのは、日本人のもっとも優れたところだと思います。他民族都市ニューヨークで、これだけのサービスがあるのは日本人社会だけでしょう。
 しかし、その長所が今、「仇」となってこのニューヨークの日本人社会に、ある意味では、デメリットをもたらしているといえます。便利すぎるニューヨーク。人ごとではありません。うれしいような悲しいようなこの状況を打破するには、「強靱な意志を持って日本文化からあえて離れるしかない」。自戒の意味を込めてそう思う今日このごろです。

 
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