4/12
アメリカのサマータイム

「日曜日には時計の針を1時間進めるのをお忘れなく…」

4月に入るとアメリカのテレビ番組のほとんどはこんな呼びかけで始まります。

 今月4日、アメリカでは昼間の長い季節に時計の針を一斉に一時間進める夏時間に移行しました。夏時間は現在欧米を中心に約80か国で導入されていて、日本でも通産省などが中心になって導入を検討しています。
アメリカでは夏時間のことを「Day Light Saving Time」、つまり「日光節約時間」と呼んでいます。
 始まりは第一大戦中の1918年。明るい時間を有効に使って電力などを節約するためでした。一旦は廃止されたものの、1966年に再開され、今ではほとんどの州で採用されています。
 南にあるハワイ州やアリゾナ州などは、夏と冬の昼間の長さが余り変わらないことから採用していません。
 アメリカでの夏時間の始まりは4月の第一週目の日曜日の午前2時。この時点で、時計の針を1時間進めます。実質、1時間損するわけです。次の日が大変です。私の家には壁時計、腕時計、VTRデッキの時計、炊飯器の時計、ポケベルの時計…など細々したものを合わせると約20個の時計があり、これらをすべて1時間進めなければなりません。(統計によると、日本人家庭には約20個の時計があるそうです)




 世界一の規模を誇るニューヨークの時計屋・トーノではお店に約7000個ある時計の修正作業に追われます。100人のスタッフが2日かけて行う大作業です。



 煩わしい作業を伴いますが、夏時間のメリットはたくさんあるようです。
 人々は明るいうちに仕事を離れ、スポーツやレジャー、家族サービスの時間が持てます。エネルギー省の調査では、昼の時間がのびて、夜の時間がそのぶん短くなることで、クーラーや照明などに使う光熱費が20%以上減ると言うことです。
 また暗いところで多発する婦女暴行などの犯罪も13%減りました。

 しかし、良いことだけではありません。ペンシルベニア大学の調査では夏時間になった週明けには、眠気が原因で交通事故が8%増え、5人に一人が、当分の間、時差ボケに似た体調不良に陥ると言うことです。




 一長一短の夏時間ですが、レジャー好きで、自分の時間を楽しむことが上手なアメリカ人には受け入れられているようです。世論調査では3分の2のアメリカ人が賛成しています。
 これからの季節、ニューヨークのセントラルパークでは、大規模な無料コンサートが行われるなど、夏時間のメリットを生かした、平日の夕方行われるイベントが目白押しです。
 日本でも戦後まもない1949年、夏時刻法として、夏時間が導入されたことがありました。しかし、「労働過重になる」「疲れてだるい」との理由からわずか4年で廃止になりました。同じような緯度の国々を見渡してみると、中国、韓国も一時取り入れましたが、「効果がない」「労働強化になる」として廃止。フィリピンでも一時節電対策として取り入れましたが、これも廃止。
 ちょっと南のブラジルでは今、夏時間に反対するデモが連日行われています。フランスでも毎年のように廃止論が出て、議論されています。
 日本で再び夏時間の導入が活発化したのは地球温暖化防止対策のためです。環境庁などによると、夏時間を導入することで、年間、原油換算で、約50万キロリットルの省エネ。約44万万トンのCO2削減効果が見込まれると言います。
 一方で導入に伴うコストは1000億円にも上ります。余暇の拡大で、年間6400億円の消費拡大が見込まれると言いますが、夕方6時になって「じゃあまたあした!」と気軽に言える雰囲気が日本の会社にあるかどうか。そしてどうやって余暇を楽しむのか…?日本の風土と伝統を考えるといいことづくめでもないような気がします。
 2001年の導入を目指す動きが活発化していますが、近隣諸国でなぜ根付かなかったのかなどを踏まえた上で、しっかり議論する必要がありそうです。

佐藤くんへのE-mail

佐藤くんのトップへ戻る

Top Pageへ 掲示板へGO!   E-Mail