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ホットドッグイーティングコンテスト

「中華(料理)ばかりの食生活の後、
やっとホットドッグにありつき、それをかじった様な気分だ!」

あるアメリカ投資家の回想記の一節です。
これは、長い間あることを我慢して、
やっと自分のやりたいことが出来た時の気分を表す「例え」なのですが、
アメリカ人とホットドッグの関係をよく表しています。




日本人にとっての米にあたるのがホットドッグと言ったところでしょうか。
ホットドッグがアメリカ人の食生活のシンボルといわれる由縁です。
アメリカ人は本当にホットドッグをよく食べます。
街の屋台、野球などのイベント会場…、ホットドッグ屋は至る所にあります。
一人平均年間80本のホットドッグを食べるそうです。



そのアメリカ人が1年でもっとも多くホットドッグを食べると言われる
独立記念日の7月4日、ニューヨークでは恒例の
ホットドッグイーティングコンテストが行われました。
このコンテストは地元の老舗ホットドッグ屋・ネイサンズが
83年前に始めたもので、アメリカでも最も古いコンテストの一つです。
12分間で何本食べることができるかを競います。
参加したのは、アメリカ、ドイツ、日本などから21人。
アメリカの由緒ある大会だけあって、100社以上のマスコミも詰めかけました。



1番の注目は、日本から参加した中嶋広文さん24歳。
中嶋さんはこのコンテストの3年連続のチャンピオンで、
24本と2分の一という世界記録を持っています。
身長173センチ、体重は60キロです。
他の参加者達は優に100キロを超えていて、
並んで立つとその細さがひときわ目立ちます。
この体の一体どこにホットドッグが入るのか、アメリカでは毎年話題になります。



一方、チャンピオンベルト奪回にアメリカ人の期待がかかるのが
50歳になるスティーブ・カイナーさん。
スティーブさんはニュージャージー州のホットドッグチャンピオン。
体重は中嶋さんの2倍以上の148キロです。

早食いの続いた12分間、会場は異様な盛り上がりでした。
移民の多いアメリカでは、アメリカ人以外の人達が活躍しても、
比較的寛大なのですが、このホットドッグ早食い大会だけは別物でした。
アメリカ人がアメリカ人であることを再確認する独立記念日に、アメリカの伝統・ホットドッグの早食いチャンピオンを日本人に取られてなるものか…といった感情がありありと出ていました。
 昔、外国人力士が活躍し始めた時の日本がだぶって見えました。




結局、スティーブさんが20個と4分の一のホットドッグを平らげ、
チャンピオンに輝きました。
場内は「アメリカ、アメリカ!!」の大合唱。観衆も星条旗を振り回し、
「♪WE ARE THE CHAMPION」が鳴り響きました。
中嶋さんは19本を食べ、3位に終わりました。
中嶋さんはこれを機に、引退することを明らかにしました。

大会のからし色のチャンピオンベルトは3年ぶりにアメリカに帰ってきました。
アメリカ人達は、これで「ホットドッグの元祖・アメリカのメンツが立った」と
大喜びでした。




この大会には後日談があります。地元のテレビ局の「NY1」が物言いを付けたのです。
NY1が撮影したビデオテープに、チャンピオンになったスティーブさんが、
スタートのかけ声よりも2,3秒早く食べ始めていたシーンが映っていたのです。
この報道がきっかけで、他のテレビや新聞もさわぎたてました。
ひょっとしたら、リターンマッチが行われ、日本人チャンピオンの可能性も…?
と期待されました。しかし、主催したホットドッグ屋が「2,3秒フライングしたと
しても本数には影響しなかった」との判断を示し、チャンピオンベルトは
来年の独立記念日まで、アメリカで安住できることが確定しました。

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